導入事例

H株式会社(建設業)

◆Before
業歴24年、社員6名、年商5千万円
元請工務店からの厳しい値下げ要求が続いている。
「断ると切られる。社員を食わせていくためにはやむを得ない。」と考え止むを得ず要求を受け入れてきた。
結果、4期連続の赤字決算。
材料仕入資金が不足し、銀行からの新規借入を申込み。
追加担保差し入れ要請されるが、全ての保有資産を既に担保設定しているため、不可能。
銀行からの資金調達を断念。
社長個人が加入している保険会社から、保険金担保による借入で資金調達する。
その他、社長や奥様の給料の引き下げ、駐車場の解約、不要資産の売却等により急場を凌いでいる。
それでも毎月の資金不足は解消されず、資金ショートによる倒産が差し迫り、社長の眠れない日々が続いている。

◆当社コンサルティングによる経営改善策
得意先別の原価計算をして、財務分析した結果
・元請会社2社に対する売上割合が全社売上の65%を占めていること。
・その2社分の粗利益率が、著しく低いことが判明した。
さらに、会社の強みをヒアリングやアンケート等により分析した結果

・競合他社がやりたがらないような手の込んだ工事でも、社員の高い技術力で対応できること
・工事現場での社員の目配り、気配りが行き届き、トラブルを未然に防ぐ能力が高いこと
・社長の腰の低さで、施主や近隣住民からの信頼が高いこと

などの強みが明らかになった。
当初、銀行借入のリスケジュール(元金返済の停止)も検討したが、
以下の対策を講じることで一定の改善が見込めると判断した。

・原価計算の質を高めるため、経理の仕組みを改善する。
・正確な原価計算に基づいて、見積書の内容を細かく書く。
・競合他社と自社との違いを元請工務店に文書で伝え、元請工務店にとってのメリットを主張する。
・元請工務店2社から、一定の利益が確保できないほどの値引き要請は拒絶する。
・遠方現場の大きな工事よりも、原価率の低い近隣住民向けの小さな工事を受注し、下請会社からの脱却を図る

これらの対策を織り込んだ経営計画書を作成し、社員にも周知徹底を図った。

◆After
上記改善策を講じた結果

・元請工務店からの受注が約半年間激減
・近隣住民から直接依頼される小規模工事が増加
・全体として、売上高は減少するも、利益率や利益金額は増加
・しばらくして、元請工務店から「是非御社にお願いしたい」

と正常な利益を確保できる内容での依頼が来るようになる。

・業界内や近隣住民の間で、高い技術力や評判が浸透してきたことを実感。
・下請け工事比率が下がり、直接受注や、工事を他社に振る元請工事の比率が上昇。
・利益の中から銀行や社長借入を毎月確実に返済できるようになる。
・以後3期連続黒字決算達成し、黒字経営の仕組みができたことを社長ともども確信

◆増子からのメッセージ
中小企業の経営者は、「とにかく売上を上げねば!」という意識が強いため、
価格面や品質面で顧客からの無理な要求を泣く泣く受け入れてしまう方がとても多くいらっしゃいます。
しかし、経営で大切なのは売上ではなく利益です。
社員の給料も仕入代金も借入金の返済も、利益から出ています。
本事例の会社も従前は「売上拡大志向」でしたが、「売上を下げてでも利益を確実に取る」
という思想に変化した結果、
下請会社からの脱却し、自立した経営を行うことができるようになりました。
社長からは、

「経営が苦しかった時は床に入っても心臓がドキドキして眠れず、薬を服用していました。
でも今は体も気持ちも本当に楽になりました。
いい仕事さえしていれば、きっと会社は良くなると信じていましたが、そうではないんですね。
いい面も悪い面も現状をよく見て、
変えるべきところは思い切って変える決断が大切であることに今更ながら気づかせていただきました。」

とのコメントをいただきました。
黒字経営の仕組みを作るためには、小さな利益を積み重ねることが大切です。
そのためには、先読みして適切に判断できるような「経理の仕組み」と、
決断・改善行動を自然に行えるようになるための「経営計画書」が必須です。
赤字や資金繰りに悩んでいる経営者の方は、視野を広く持ち、
「自社の長所を活かしながら無理なく利益を出し続けられる仕組み作り」を実践してみてください。